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IZUMIのお家づくりブログvol.6【第1種換気の実力はいかに】

2025年10月03日

私は建築巡りが趣味でその中でも特に古い木造住宅を見るのが好きでして。

先日、富山県高岡市にある伏木北前船資料館へ行ってきました。

建物の紹介などしているとそれでブログが終わってしまいそうなので写真をちょこっと。。

細い細い階段を昇った最上階には2畳ほどの見晴台へたどり着きます。

何段もの階段をクランクして登っていくのですがそれが非常に期待感を高めてくれます。

その中でも私が気になったのが建物の横にある蔵の窓回り。

窓が均等に配置されているわけではありませんが全ての窓に同じ装飾があることで統一感が生まれて、庇と窓横の装飾によって雨がかりが少なく、日射も多少遮る事ができ、デザインと機能どちらも持ち合わせていました。

古いお家を見ると毎回思うのですが昔の方たちは断熱も悪く、良い設備もない時代により良い暮らしの為たくさんの工夫をしながら随所に建築美をちりばめていて、それを探すのが非常に楽しいです。

皆様もお時間ございましたら訪れてみてくださいませ。

また建築巡り紹介させていただきます。

 

さて、今回は第1種換気扇についてお話ししたいと思います。

現在ネット上に換気のお話は山のようにあると思いますので第1種換気と第2種換気、第3種換気それぞれの違いの詳しいお話は省きます。

簡単にいうと第1種換気は冬の場合、捨てる空気から熱と湿気を回収し外の冷たい空気(外の低湿度の空気)を室温に近づけて部屋に取り込むというもの。夏はその逆ですね。

第3種換気は冬の場合、外の冷たい空気をそのまま室内取り込むというもの。

 

これだけ聞くと圧倒的に第1種換気扇の方が良いですが、性能が良い分メンテナンスも必要ですし、製品自体のコストもかかります。

では第1種換気扇の性能がどれくらい良いのか見てみましょう。

 

まず住宅の換気は法律で「2時間で1回空気を入れ替えなさい(0.5回/h)」となっています。

建物の大きさ:30坪(100㎡)

天井高さ:2.4m

100㎡×2.4m=240㎥×0.5回/h=120㎥/h(必要換気量)

30坪のお家で1時間で120㎥の空気を換気するということですね。

 

上記の設定+冬の場合で第1種換気と第3種換気の違いを見てみましょう。

室温:22℃40% 比エンタルピー:13.0Wh/日→22℃40%の空気が持つエネルギーのようなものです。

外気温:0℃70% 比エンタルピー:2.2Wh/日

〇第3種換気の場合

 10.8Wh/㎥(比エンタルピー差)×120㎥/h×24h/日=31.1kWh/日(1日で換気で逃げる熱)

 COP3.0のエアコンで35円/kWhの電気代だと…

 1日で362円の暖房費がかかることになります。

 

※ちなみ外皮(断熱部)から逃げる熱は0.46W/㎡・K(Ua値)×250㎡(外皮)×22℃(内外温度差)×24h≒60kWh=700円/日

となり1日で700円の暖房費がかかることになります。

これを見ると換気から逃げる熱が断熱している部分の半分で結構多いことが分かりますね。

 

〇第1種換気の場合

 熱交換効率80%の場合

 1日で逃げる熱31.1kWhが80%OFF!→6.22kWh/日(1日で換気で逃げる熱)

 電気代だと…

 1日で73円の暖房費がかかることになります。

熱交換効率が80%というのは上図のように室温が22℃だった場合、換気する時にその熱を回収して17℃(22℃×80%=17.6℃)で室内に取り込みます。

この80%というのはメーカーごとに違っていて、交換効率が高いほど性能が良いと考えてもらえれば良いと思います。

(交換効率と一言で言っても温度、湿度それぞれで効率が違ったりします)

 

暖房費だけみると第1種換気は第3種換気の10分の1程度しかかからないんですね。

やっぱり第1種換気の方が良い!と思いますよね。

ですが、まだ見えていない点があります。

 

〇第1種、第3種換気選定で気にした方が良いこと

①運転コスト

第1種換気は第3種換気に比べて複雑なことをしているのでやっぱりその分消費電力が高いのでその点も考慮

 

②製品交換費用、製品自体の費用

換気装置も機械なので交換が必要になってきます。機械によりけりですが交換が容易にできなければその分の費用もかかってきます。

 

③使わない部屋がある

 

第1種換気は熱交換をする際、全ての部屋の空気をまとめて熱交換することが多いですが(各部屋だけで行うものもあります)子供が巣立って2階は使わなかったり、今は誰もいないから暖房するのはもったいないと思っていると上図のように第1種換気扇に取り込む温度が18℃と下がってしまいせっかくの熱交換の利点が薄れていってしまい、その分暖房費も少しずつ第3種換気に近づいていきます。

 

④熱交換効率とその他の換気扇との関係

第1種換気を使う際に一般的に含まれない換気があったりします。

〇レンジフード

〇お風呂の換気

〇幹太くんの排気

などが代表ですがメーカーが設定する熱交換効率にはこれらは考慮されていないのでそれらを考慮して実際の換気効率を計算してもらうと良いかもしれません。

例えばレンジフードだけを考慮して熱交換効率を計算してみると(レンジフードを1日で2時間使うと想定します)

120㎥/h×24h+400㎥/h×2h=3,680㎥/日(1日に家から排出する空気量)

120㎥/h×24h×80%=2,304㎥/日(1日に熱交換される空気量)

2,304㎥/日÷3,680㎥/日=62%

80%の熱交換効率が62%まで下がってしまいました。

 

昨今Ua値争いになっている感がありますがUa値の計算には換気による熱の移動は含まれないので換気には関しては別で検討する必要があります。

これらが全てではありませんがこれらのこと考慮して換気について考えてみてはいかがでしょうか。

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