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今までの当たり前、これからの当たり前

2026年05月19日

先日、業界紙で「幅30cmのビルトイン食洗機」の記事を見かけました。

以前なら、食洗機は45cmや60cmが当たり前。

特に10年ほど前までは、フロントオープンの60cm食洗機に憧れるお客様も多く、それが“理想の設備”のような空気感もありました。

「大きいほど便利」
「たくさん入るほど豊か」

そんな価値観が、住宅業界全体にも確かにあったと思います。

ですが最近は、少し空気が変わってきています。

「45cmで十分ですね」

という声や、

「メンテナンスコストも考えて、あえて付けない選択をします」

というお客様も増えてきました。

もちろん、これは単純に節約志向という話ではありません。

むしろ逆で、
“自分たちに本当に必要なものは何か”
を、丁寧に考える人が増えてきたように感じています。

これは家づくり全体にも共通していると思います。

以前は、

「広いリビングがいい」
「収納は多いほうがいい」
「部屋数は多いほうが安心」
「設備は大きいほうが便利」

という考え方が、半分“正解”のように扱われていました。

もちろん、それ自体は悪いことではありません。

実際、広い家だからこそ得られる豊かさもあります。

ですが今は、住宅価格も、土地価格も、光熱費も、メンテナンスコストも、少し前とは比べものにならないほど上がっています。

確認申請の長期化や、人件費・資材価格の高騰もあり、住宅そのものの考え方を見直すタイミングに来ているように感じます。

だからこそ今、
「なんとなく広い」
を選ぶ時代から、

「自分たちにとって、本当に必要な広さはどれくらいか」

を考える時代へ変わってきているのかもしれません。

安藤建築事務所が小さな家づくりをしているのも、単純にコストを削減したいからではありません。

小さく建てることは、我慢ではない。

むしろ、
“本当の意味で取捨選択をする”
ということだと思っています。

情報があふれる今の時代は、
気づかないうちに「これが正解らしい」という空気に流されてしまいます。

SNSを見れば、
広い家、大きなキッチン、大容量の収納、豪華な設備が次々に流れてくる。

それを見続けるうちに、
「自分たちもこうあるべきなんじゃないか」
と思ってしまうこともあります。

でも、本当にそうでしょうか。

大きな家を持つことが、必ずしも幸せにつながるわけではありません。

設備が増えれば、その分メンテナンスも増えていきます。

面積が増えれば、掃除も、冷暖房費も、将来の修繕費も大きくなります。

そして何より、
住宅ローンによって暮らしそのものの余白が削られてしまうこともある。

だからこそ今は、
“足すこと”ではなく、
“選ぶこと”
が大切な時代になってきている気がします。

不便=不幸ではない。

快適=幸せでもない。

もちろん、性能はとても大切です。

夏涼しく、冬暖かく、安心して暮らせることは、これからの家づくりに欠かせません。

ですが、性能や広さだけで、暮らしの豊かさが決まるわけでもないと思っています。

幸せの形は、家族の数だけ無数に存在しています。

休日に家族みんなでリビングに集まる時間かもしれない。

庭で小さくBBQをする時間かもしれない。

好きな家具をひとつ置くことかもしれない。

旅行に行く余裕を持つことかもしれない。

家づくりとは、
性能や広さを競うことではなく、

“自分たちらしい幸せの形を探していくこと”

なのではないでしょうか。

今回の30cm食洗機の記事を見ながら、
そんなことを考えていました。

今までの当たり前から、
これからの当たり前へ。

家づくりも、少しずつ変わり始めているように感じます。

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佐々木不動産