COLUMN住まいのコラム

ハウスメーカー、ビルダー、工務店、設計事務所の違い|石川県の家づくりを徹底分析 データから見る成功の鍵 Vol.7

イエタッタ編集部
2024.04.22

一級建築士が解説! 

家づくりをする会社の違い

 

ハウスメーカー、ビルダー、工務店、設計事務所の違い

日本の家の大半は、設計と工事を1つの会社でまとめて行うハウスメーカーや工務店で建てられています。実はハウスメーカーという言葉の正式な定義はありません。業界内では会社の規模感で分類されることが多く、規模以外の特徴も含めて下表のようにまとめられます。あくまで大別した場合のため、厳密な分類ではないことをご了承ください。

会社の特徴は事業規模と相関関係があります。住宅会社は家を建てることで収益を得る会社のため、社員数が多ければ多いほど沢山の棟数が必要です。

沢山の棟数を維持するにはマニアックに凝ったことより、一般大衆受けやバランス重視の傾向になり、安心安全をより感じられるアフター×サービスの充実を図ります。逆に小規模な会社は健全経営に必要な棟数が少なく、何かに特化することや融通の利く対応が得意です。大きいから安心、小さいから不安ではなく、あくまでも得意不得意や向き不向きで決めていくのが会社選定のポイントになります。

 ちなみに、住宅や店舗以外は設計と工事を別々の会社に依頼するのが一般的です。その際は、設計事務所が窓口になります。見積内容や工事の状況判断には専門知識が必要となるため、設計事務所がお客さんの代行として妥当性を確認しながら進行していく公平性の高さが特徴です。慎重な進行になるからこそ、時間がかかってしまうのがデメリットです。

 

それでは会社ごとに詳細な特徴を確認してみましょう。

1.ハウスメーカー

全国展開している大規模な会社。全国で蓄積したノウハウを基に自社独自の商品開発を行う。自社工場で部材を生産し、設計から施工までをシステム化しているため、短工期かつ安定品質を実現。独自のアフターサービスや強固な経営基盤から倒産リスクが比較的低く、安心感が強い。常設展示場でいつでも見学できるのが嬉しい。一方で独自規格の制約があり、自由度が低いとも言える。また商品開発や常設展示場に経費がかかっており、平均的にコストが高い傾向

2.ビルダー

隣県に展開している中規模の会社。木造住宅が多く、施工精度は取引先の職人の腕に依存する。アフターサービスはハウスメーカーを追従するように整えられ、性能やコストはバランスの良い平均レベルの傾向がある。手の届く価格で安心な家づくりを提供することが特徴。販売目的のモデル分譲住宅を常時持ち、いつでも見学できる。バランスの良さが魅力である一方で、群を抜いた特徴が少ないため、こだわり強めの方には物足りなさがあるだろう。

3.工務店

地域密着の小規模な会社。木造住宅が多く、施工精度はビルダーと同様。アフターサービスは一般的な定期点検程度で、連絡があれば駆けつける対応が多い。少ない棟数で安定経営ができるため、何かに特化した特徴を持っている。例えば自然素材しか使わないデザインや、超高性能レベルの断熱・気密等、経営者の考えが顕著に表れる。価格はこだわりに比例してピンキリ。展示場を持たなかったり、資料が充実していなかったり、家づくりのイメージがしにくいかもしれません。

4.設計事務所

設計は設計事務所が行い、その図面をもとに複数の会社に見積を依頼して工事する会社を入札で選定。見積内容や工事の状況を設計事務所がお客さんの代行として妥当性を確認しながら進行していくため、よりこだわりの強い家づくりが可能。確認作業が増えることで安心感がある一方で、前述の会社よりも時間がかかってしまう。設計料が別途かかりますが、提示した予算にあわせて可能な提案をするのがプロなので、設計事務所イコール高いは誤認と言えるでしょう。

 

 

 ハウスメーカー  
エリア・規模 全国
設計(住宅プラン) 制約が多い
工期 工場生産が多く短い
工事の精度 規格化部材で安定
アフターサービス 独自の手厚いサービス
価格帯 比較的高くなる傾向
倒産リスク 低い
完成物件の見学 常設があり常時見学可能
仕様の傾向

価格も性能も高いところでバランスをとる

 

 ビルダー  
エリア・規模 地域密着
設計(住宅プラン) 自由
工期 現場加工が多く長い
工事の精度 職人により高くも低くもなる
アフターサービス 程よく手厚く、融通も利く
価格帯 平均的
倒産リスク 低い
完成物件の見学 常設があり常時見学可能

仕様の傾向

価格も性能も平均値でバランスをとる

 

工務店   
エリア・規模 隣県の複数エリア
設計(住宅プラン) 自由
工期 現場加工が多く長い
工事の精度 職人により高くも低くもなる
アフターサービス 地域密着で融通が利く
価格帯 こだわり次第で高くも安くもなる
倒産リスク やや高い
完成物件の見学 内見会のタイミング次第

仕様の傾向

何かに特化することが得意

 

 

 

解説:一級建築士 鶴見哲也

1986年石川県かほく市出身。新潟大学大学院修了後、金沢市の設計事務所や住宅会社で8年半建築設計業務に従事。2019年(株)ミライエ・カンパニーに転職し、メディアの立場から家づくりをわかりやすく、失敗しないようサポート。イエタッタカウンターでは勉強会や個別予約で直接相談可能

 

 

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