COLUMN住まいのコラム

石川県の家づくりを徹底分析 データから見る成功の鍵 Vol.4

イエタッタ編集部
2024.02.12

一級建築士が解説! 

性能やデザインの意味を知ろう

家づくり、急ぐならまず学べ

住宅会社を沢山回れば理想が見つかるわけではない。自分たちが何をしたいのか。どこが得意としているか。この2点を抑えるには、性能やデザインの意味を知るのがポイント。住宅会社を回る前に学んで、違いの分かる人になりましょう。

01:違いがわかる人になるポイント

住宅会社の特徴は主に耐震性能、断熱性能、機能性、デザインの考え方に表れます。どれも最高の住まいをつくるにあたって重要であることは間違いありません。しかし、すべてを完璧に満たそうとすると、予算オーバーになってしまう場合がほとんどです。だから家づくりユーザーは耐震性能、断熱性能、機能性、デザインに対して優先順位をつけて、何が欲しくて、何が我慢できるのか判断しなければいけません。そんなユーザー同様、住宅会社も信念に基づいて力を入れるポイントを変えており、それが各社の得意不得意として表れます。つまり家づくりユーザーは、自分たちが求めていることを得意としている住宅会社に依頼できると、家づくりの成功への大きな一歩となるでしょう。ここで注意しなければいけないのが、住宅会社の中には経験や実績がないことまで「できる」と言ってしまう方がいることです。技術者としてのプライド、受注や実績が欲しい等、様々な理由があることは理解できますが、安心してお任せできるのは実績がある会社でしょう。そのため家づくりを検討中の方は、実績が確認できる最低限の知識を身につけて、求めている性能やデザインについての実績を確認しながら会社選定を行っていきましょう。それでは次項からは、耐震性能、断熱性能、機能性、デザインについてお金をかけて手に入るものが何か解説していきます。自分たちがどんな暮らしを実現させたいかにあわせて、優先順位を考えてみましょう。もちろん全部捨てがたいといった同率順位もありです。

 

 

 

02:命と財産を守る耐震性能

 耐震性能は地震に対する構造的な安全性能を表し、その強度は耐震等級で表されています。等級1から3までの3段階があり、等級1は建築基準法を満たした最低基準です。等級2、3を取得するには、通常の設計とは別に構造計算や認定の申請が必要になり、別途手数料がかかります。また基礎の鉄筋や柱、梁の大きさ等が変わるため、材料費も上がるでしょう。場合によっては窓の位置や大きさ、間取りに制限が出ることもあります。それでも有事の際の安全性が異なり、等級が高ければ地震後に修繕なしで暮らせる可能性も高くなるため、保険のようなものとイメージしてもいいかもしれません。安全性が高いことから、耐震等級2、3は地震保険の割引もあります。

 

 

03:健康、快適、省エネに暮らす断熱性能

断熱性能は保温能力を表し、少ないエネルギーで快適な温湿度環境を保てることから、健康な暮らしが実現できます。断熱性能も等級制度があり、2022年の法改正で等級4の義務化が決定し、併せて上位基準の5~7が定められました。断熱性能は使用する材料の熱伝導率と厚みで決まるため、性能は使用する材料ではなく数値で判断しましょう。また、断熱性能は設計段階で決められますが、隙間だらけだと性能が発揮できないので、工事中の気密測定を行うことがおすすめです。断熱、気密をしっかりすれば容量の小さなエアコンで家中を冷暖房することができ、電気代も将来のエアコンの買い替え費用も抑えられます。

 

04:暮らしの負担軽減ができる機能性

暮らしの中には掃除、洗濯、料理を中心に様々な負担があります。その負担を少しでも楽にできるのが機能性です。例えば、サンルームの隣にファミリークロークがあれば、服を畳まずにハンガーからハンガーに移すだけで片付けが終わります。ファミリークローク分の面積が増えているため工事費は高くなりますが、機能性が高まり負担軽減になることでしょう。食洗器も同じで、無くても生活はできるけど、あったら食器を洗う時間が1日あたり10分程少なくなります。このように間取りの工夫や住宅の設備機器の選定で機能性を高めることで、暮らしの負担軽減ができるため、自分たちの暮らしにあったものを採用していきましょう。

 

05:暮らしの負担軽減ができる機能性

好みの見た目にすることで愛着が湧き、大事にしようという気持ちになります。革製品をメンテナンスしながら使い、経年変化を楽しむ感じは愛着があるからできることです。愛着の持てる見た目、形、素材の選定はデザインが成せる業そのもの。デザインを得意としている人たちは、往々にして引き算思考をしています。例えば10個の要望があったら、すべてを平等に満たすのではなく、コミュニケーションを取って優先順位をつけ、本当に大事な3つのことを最大限に叶えた提案をしてくれることが多いです。そうすることで要望以上の提案になっていることがあり総合的な満足度を高めてくれるかもしれません。

 

断熱性能から会社を選ぶ


【断熱等級4】【断熱等級5 ZEH基準】【HEAT20 G1】【断熱等級6 HEAT20 G2】【断熱等級7 HEAT20 G3】

耐震性能から会社を選ぶ


【耐震等級1】【耐震等級2】【耐震等級3】

デザイン力


【設計力・デザイン力に自信がある会社から選ぶ】

 

解説:一級建築士 鶴見哲也

1986年石川県かほく市出身。新潟大学大学院修了後、金沢市の設計事務所や住宅会社で8年半建築設計業務に従事。2019年(株)ミライエ・カンパニーに転職し、メディアの立場から家づくりをわかりやすく、失敗しないようサポート。イエタッタカウンターでは勉強会や個別予約で直接相談可能

 

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